*今回の記事は、炎上覚悟でアップロードしております*
総合型選抜を受験する際に、最も大きな悩みとなるのが、
志望理由書の研究テーマの決定
です。
今、総合型選抜で受験することを検討している方であれば、既に悩まれるかと思います。
研究テーマは、「よく扱われるテーマ」と「珍しい研究テーマ」の2つに分類することができます。
前者の「よく扱われるテーマ」で書かれた志望理由書の中には、合格を意識しすぎたが故にクオリティが低くなってしまっているものがあります。
今回の記事では、そんなよく見る志望理由書のテーマに対して、辛口でコメントをしていきます。これから研究テーマを決めていく読者の方々は、
「こんな研究テーマで志望理由書を書いたら、こんな感じでコメントされて落ちてしまうかも…」
という意識を持って読み進めて頂ければと思います。
そもそも何故、低クオリティな書類になってしまうのか
まず、冒頭に説明したような「よく扱われるテーマ」はなぜ頻繁に使われるようになってしまったのでしょうか。
結論、簡単に志望理由書を書けてしまうからです。
「よく扱われるテーマ」をベースとした志望理由書に共通して言えることは、
・頭を使わなくても書けるエピソード
・簡単にアクションを起こすことのできる活動実績
・さっと調べたら分かる調査
などによって構成されている点です。
簡単なテーマであるからこそ、低クオリティな書類になってしまいがちなのです。
基本的に総合型選抜で勝ち抜くためには、教授にインパクトを与える必要、つまり印象的な受験生になる必要があります。
なぜなら、頻繁に見る研究テーマで浅い内容の書類は、数えきれない数の提出書類を見ている教授からスルーされてしまう可能性が高まってしまうからです。
これじゃ受けらない?!単なるお涙ちょうだい系の書類とは
たくさんの志望理由書を分析してきた中で、「浅いな」と感じてしまう志望理由書の中で、特に目立つのが「お涙ちょうだい系」の志望理由書です。
単なるお涙ちょうだい系の志望理由書とは、自身の貧困家庭で育った経験をもとに書いた書類などが挙げられます。
では、いくつか具合例を挙げて説明していきます。
①シングルマザー支援をやりたくて福祉学部にいきたい!
自分自身の親がシングルマザーで金銭的に厳しい環境で育った方の志望理由書でよくあるケースがこちらです。
自分が幼少期に金銭的な理由で好きな習い事を続けることができなかった。だから、シングルマザーでお金のない家庭の子供でも、好きなことに挑戦することのできる社会を作りたい。そのために、福祉学部で貧困を勉強して、この志を実現したい。
色々とツッコむところがありますが、まず、本当に福祉学部が進むべき学部であるのかが気になります。
「貧困問題を扱うから福祉学部に行く」というのではなく、実際に自分の「貧困家庭の子供でも、好きなことに挑戦することのできる社会を作りたい」という志を実現するためには、どういった勉強が必要であるのか、何を習得する必要があるのかを分析して学部を選ぶ必要があります。
また、シングルマザーでお金のない家庭の子供にこの志望理由書では焦点が置かれていますが、では他のシングルマザーの家庭ではないけど貧困な家庭の子供はどうなのか?などといった点で説得性が薄れてしまいます。
常に自分の考えが正しいのか、志望理由書のロジックに抜け漏れがないのか、他のソリューションでは自分の志を実現することができないのか、などなど考えてブラッシュアップしていきましょう。
また、活動実績としてこの手のテーマを扱う受験生でありがちな活動が、子供食堂でのボランティアでしょう。
単に子供食堂でカレーを提供しているようでは全く意味がなく、そこでどのような学びがあったのか、何を知ることができたのかをしっかりと志望理由書などの書類に記載する必要があります。
例えば、
貧困家庭の子供にはどのような心情があるのか調査するために、このような仮説を持って子供食堂でボランティアをした。この調査をもとに◯◯◯がわかり、△△△というソリューションが必要であると考えるようになった。
などと書いて、その活動が自身の志望理由書上で価値のあるものだと述べることが重要となってきます。
②ハーフであることを理由にバカにされた経験があるから差別をなくしたい
自分自身がハーフであることが理由でイジメられたことのある方によくあるケースがこちらです。
自分がアフリカのガーナと日本のハーフで色が黒いことが理由で、小学校の頃イジメられて辛い思いをした。だから、人種や国籍を理由に一定の人がバカにされたりするのが許せなくなった。そのため、国連で仕事をしたい。これを実現するためには、この国際関係学部で勉強をする必要がある。
色々とツッコむところがありますが、まず、本当に国連で仕事をすることで人種差別などの問題を解決できるのかという点が気になります。
人種差別という問題は、今現在に発生した問題ではなく大昔から解決されていない問題です。つまり、一人の日本人が国連に入るというシンプルな出来事で、この大きな問題は解決するのでしょうか?
「こんな意地悪な質問どこで聞かれるんですか?流石に聞かれないでしょ!お涙頂けるし受かるでしょ!」と勝手に考えて、このような書類を提出してしまう受験生が山ほどいます。
実際、面接でこのような質問、またはもっと意地悪な質問は当たり前のように聞かれます。
また根本的に「差別をなくす」と言っても、どのフィールドでの差別を無くすのかについても言及することが必要です。一度に全世界から差別を無くすことは不可能なことであるからです。
つまり、いち日本人として実現することができるのかが割と重要となってきます。
例えば、大きな枠として人種差別をなくすと設定し、具体的に自分が差別を経験した小学校から差別をなくしたい、などと志を具体化することができます。
総合型選抜合格のために作った内容すぎる書類
お涙いちょうだい系の書類以外で、よく目にするあるあるのテーマを紹介していきます。
①学校の校則は生徒をダメにしてるので校則を緩くしたい
高校などの校則はおかしい!意味がない!
という仮説のもと、日本の学校の校則を緩くしていこうというテーマで書かれている志望理由書をよく目にします。
このような書類を出した場合、以下のような懸念点が挙げられます。
・校則が無くなったら学校の秩序が崩れるのでは?
・校則は、大学受験などそのさきのライフイベントに良い影響を及ぼしていないと言い切れるのか?
・校則のない学校は、生徒の偏差値が高く思考することができるから成り立っているのではないか?
などなどが挙げられます。
また、そもそも学校の校則を緩くしたいのは自分が校則に合わなかっただけであって、仮に校則が緩くなっても社会にあまりメリットは生まれないのではないか?とツッコむこともできます。
②模擬国連やっているので国際法やります
参加者が各国の代表を模して会議を行う模擬国連は、総合型選抜受験者の間では人気な課外活動です。
そんな模擬国連に参加する受験生の多くが、意味もなくイメージで法学部を志すケースが多くあります。
たしかに、多くの法学部には国際法を学ぶことのできる学科が設置されていたり、またそれに関連する授業が多く用意されていて国際法を学ぶことができますが、そもそもなぜ国際法なのかがざっくりとしていることが多いです。
模擬国連で国際問題扱ってきたし、国際法しょ!といった浅はかな考えをする受験生が想像以上に多いのが事実なのです。
国際法ではない他の学問では自分の志を実現することはできないのか、なぜ他のソリューションでは無理なのか、しっかり根拠をロジカルに述べていく必要があるのです。
結局何を意識するべきなの?
今回の記事で、特に強くお伝えしたいことは以下の通りです。
・普通の高校生でもできるorやってそうな研究テーマは扱わない
・自分の経験や考え、研究テーマと学部選びが噛み合うかしっかり考える・他の方法では自分の志を実現することはできないのか思考する
これらをしっかりと徹底するだけでも、志望理由書はもちろん、そのほかの書類のクオリティを大幅にあげることができます。
そして、この3つを一言でまとめると、
単なるお涙ちょうだいの書類ではFランしか受かりません!!
となります。
お涙ちょうだいの書類を提出して難関大学受験で勝負がしたいのであれば、徹底的な対策を行う必要があるのです。
その対策としては、
・自分が今考えている志の実現手法の他に、方法は存在しないのか?
・他の学部で学ぶことを選択したらあなたの志は実現されずに終わってしまうのか?
・なぜ自分がこの問題を扱うのか?他の人では失敗するのか?
などを常に自分に問いかけて書類を作り続けることです。
これらを意識することを怠ると、出すだけ無駄な提出書類セットが完成してしまいます。
まとめ
今回の記事では、
①あるある書類への辛口コメント
②合格する書類を作成する上でマストなこと
を説明してきました。
もしこの記事を出願手前で読んでいるのであれば、一度自分の志望理由書を読み直してみてください。
もしまだまだ出願まで時間があるのであれば、今回ご紹介した視点で研究テーマを設定してアクションを起こしていきましょう。
受験は競争です。相対的に周囲の受験生より一歩先を進むことが重要であり、受験する大学学部のそれぞれ特徴をしっかりと調べて抑えているだけでは、合格は難しいでしょう。
受験合格の秘訣は、「知っていること」や「優秀なこと」ではなく、「正しい戦略」とそれに基づいた「正しい時期に行った正しい量の努力」です。
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