BlueAcademy【ブルーアカデミー】総合型選抜戦略発信局

BlueAcademy 打倒!総合型受験!2泊3日の夏期合宿に密着。

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BlueAcademy 打倒!総合型受験!2泊3日の夏期合宿に密着。

総合型選抜・推薦入試対策のBlue Academyでは、8/6-8/8の期間に夏期合宿が行われました。こちらの記事では、夏期合宿中の生徒の様子とともに、総合型選抜受験生が3日間で志望理由書を完成に近づけるためのロジックを皆さんに少しだけお見せいたします。

☑️8月に入ったのに未だ志望理由書が書き終わらない総合型受験生
☑️BlueAcademyでの受験対策に興味がある
☑️総合型受験を考えているものの”何から始めるべきか”未だわかっていない受験生

といった高校生の皆さんには必読の内容となっています。

CONTENTS
ーー
▶︎小論文対策
▶︎芸術教養授業
▶︎面接対策
▶︎プレゼン対策
▶︎個別添削の様子
▶︎生徒の感想


▶︎授業Ⅰ 小論文読解   (オンライン&対面)

小論文読解は総合型選抜において必要なすべての能力(ライティング、研究テーマ立案、面接等)を均等に鍛えることができる有用なトレーニングです。

今回はその中でも特に難易度が高いと言われている慶應義塾大学総合政策学部の2021年に出題された小論文問題を生徒に事前課題として解答してきてもらい、合宿の最初のプログラムとして講師が解説しました。

総合政策学部2021年小論文の大きなテーマは「問題を分析する上で用いるツール」です。慶應義塾大学の小論文は課題文を読解した上で答える形の問題が多く、今回も課題文内では「問題解決に用いる3つのツール」と「実際に起きている3つの社会問題」がまとめられています。

そして実際の問題ではその3つのツールを用いて3つの社会問題の内の1つを分析する、という内容になっています。つまり課題文前半で紹介されている分析方法を用いながら、課題文後半の社会問題を読解していくことが回答者には求められています。

ここで重要なのが、この小論文の内容となる「問題を分析する上で用いるツール」は決して小論文内でのみ完結する物ではなく、総合型選抜で研究テーマを立案する際はもちろん、大学に入学後も用いることができる非常に有用な内容となっていることです。たとえ二次試験で小論文試験が無かったとしても、総合型選抜を志す上では必ず確認しておいた方がいい内容でしょう。

この合宿のプログラムでは課題文内で登場する「アクター分析」、「アロー・ダイアグラム」、「システム思考」の3つの分析ツールを生徒が自由に用いることができるようになるために様々な課題を用意しました。

まず、この授業では講師による課題文の説明に加えて、2つの演習を行いました。

1.「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じような言葉を作る

1つ目の演習は分析手法「アロー・ダイアグラム」を正しく理解するために「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じような言葉を作る、というものです。アロー・ダイアグラムでは独立変数、従属変数、媒介変数の3つを正しく理解し、判断することが重要です。「風が吹けば桶屋が儲かる」や生徒の回答で出てきた「寝れば成績が上がる」といった言葉は実は媒介変数(原因と結果の間の要因)を独立変数(結果の直接的な原因)かのように見せることによって作られたものです。風が吹くことと桶屋が儲かる、という事象の間には他にも複数の原因があり、決して風が吹くことが直接的な原因にはなっているわけではありません。このように、生徒たちの手でその構図を作ってもらうことで、各変数の細かな違いを認識してもらいました。

2.3つのIを抽象化して理解する

2つ目の演習は分析手法を理解するためにアクター分析で用いる3つのI、「利益(Interests)」「理念(Ideas)」「制度(Institutions)」を抽象化して文章化する、というものです。アクター分析においては各アクター(関係者)を上記の3つのIの観点から分析します。基本的に利益はお金や保身、理念は感情論、制度はルールやステレオタイプ、環境といったものが挙げられることが多いです。

EX)
社会問題:パートナーシップ制度
アクター:LGBTQの人
└理念:同性婚できるようになるべき
└利益:結婚できるかどうか
└制度:自分たちがマイノリティであるという認知

生徒にはこの3つのIでどのようなものが出てきやすいのかを文章化してもらいました。実際の生徒の解答は以下のようなもので、短時間の講義でしたが、ディスカッションによりかなり理解が深まったようでした。

理念:モチベーション、理論、人を幸せにするようなこと
利益:感情論、私欲、アクターの立場を確立するために必要なこと、お金、権力
制度:環境、ルール、ステレオタイプ、人と人の価値観によって縛られているもの


▶︎授業Ⅱ 芸術教養Ⅰ    (オンライン&対面)

総合型選抜において「デザイン」を用いる場面は非常に多いでしょう。単純な書類作成に用いるUI(ユーザーインターフェース)のデザインだけでなく、受験生は読み手の体験をデザインするUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザイン能力も必要とされます。志望理由書を読んだ際に教授がどんなリアクションをするか、どのような印象を持つか、こちらが操作する必要があるのです。

芸術教養科目ではこのようなUIとUX二つの視点のデザインについて3回に分けて授業を行いました。

第一回授業ではUIのデザイン基礎についての講義を行いました。

総合型選抜では慶應SFCの自由記述や日藝の自己アピール書類など自身で視覚的にデザインする必要のある書類の提出が求められることがあります。その際にUIのデザインの基礎を抑えておくことは不可欠であり、それに加えて提出枚数や自身の表現したいキャラに合わせて、適切なデザインを選択することも求められます。今回の授業では、そのような総合型選抜で用いる必要性のあるデザインの基礎的な知識や戦略について解説を行いました。

総合型選抜で教授に自身を印象付けるためには、キャラの一貫性がとても重要になります。例えば、志望理由書で自然派であることを自称していたのに、面接で都市化について前向きであると語れば、キャラが一貫しておらず、教授は受験生の人間性自体に疑問を抱くでしょう。近年は塾による代筆も増えているため、キャラが提出書類間でぶれることは、落とされる一因になりかねません。

UIデザインの求められるポートフォリオやポスター書類では自身のキャラを強く印象付け、教授に興味を持ってもらえる一因にもなります。ぜひ力を入れて作成しましょう。

第二回授業ではUXデザインを理解するためにデスノートの内容をアロー・ダイアグラムに落とし込みながら、少女漫画を作ってみる、という演習を行いました。

上記にもある通り、受験生はビジュアライゼーションが可能な書類以外では読み手の体験をデザインするUXデザインを行わなくてはなりません。その観点においてまずはアイデアを生み出すためのフレームワーク「デザイン思考」について理解していく必要があります。

この授業では「成功事例の構造を別のものに応用する」というデザイン思考について講義を行いました。具体的には大人気漫画デスノートの登場人物間の相関関係をアロー・ダイアグラム化しまとめた後に、同じ相関関係・構造を用いて少女漫画を作ってみる、という演習を行うことでそのデザイン思考を行ったのです。

実際に生徒が作った解答としては、デスノートの代わりに相手と電話したいと思った時に電話番号が分からなくても5分間話せるが、一回話すごとに友達から自分の記憶が消えるという代償があるラブリースマホや登場人物の性別を反転させた物など様々なものがありました。道具や人物間の構造を同じ状態にすることで頭脳バトル漫画も少女漫画に応用し、面白いストーリーを作ることができます。

ストーリーをデザインすることもUXデザインの一つです。総合型選抜においてストーリーは研究テーマ・志望理由書であり、合格事例や実際に社会で解決した事例の構造を自身のテーマに置換することでUXデザインのアイデアを簡単に作ることができます。積極的にデザイン思考を用いていきましょう。

この授業では、自身の持つ倫理観、価値観、能力を適切に理解し、それにまつわるルーツや原体験を把握するために自身の歴史を3つの観点から分析し、情緒豊かに書き起こす自分史ワークを行いました。まず、自分史ワークでは自身の「精神」、「知性」、「特異性」について3つのキーワードを出します。

EX)
精神:飽くなき挑戦
知性:終わらない改善
特異性:驚異の適応力

次に、これらのキーワードにまつわるエピソードに触れながら1500-2000字以上の文章で感性豊かに自分史を書き起こします。生徒たちには授業内でこのワークを行ってもらい、互いに評価をつけあってもらいました。

実際に生徒が考えた自分史では「遅咲きのアイデンティティ」、「素直な逆張り」、「開けない心」、「世界に出ても屈しないコミュ力」、「諦めないバカ」など様々なキーワードから自身の体験が感情と共に書き起こされていました。

自分史ワークは自身についての振り返りを行い、アピールポイントを自覚することだけでなく、ワードセンスを磨くことや、文章中に伏線を貼る能力を鍛えることにも繋がります。

研究テーマ立案の際にも自分史で記述した原体験が役立つかもしれません。総合型選抜対策の初手に相応しいと言えるでしょう。


▶︎授業Ⅲ 模擬面接  (対面のみ)

多くの大学で二次試験として面接が行われることでしょう。面接は大学教授にとっては最終確認であり最後の関所です。たとえ書類上でどれだけ素晴らしい研究テーマ立案をしていたとしても、最後の最後、人間性や知性の不一致で落とされることはとても多いです。この背景には、塾の代筆の増加が原因として挙げられます。そのため、自身の研究テーマについて高度な理解を持ち、矛盾や齟齬のない解答を行う必要性があります。それだけでなく、人間性や倫理観に過不足がないことも示す必要があります。全体的な受験の流れの中でもかなりの練習量が必要になるフェーズでしょう。

夏期講習では、今年BlueAcademyでは初めての模擬面接対策を行いました。講師3人に対して生徒1人が解答を行うという形で、生徒は全員かなり緊張しているようでした。多くの大学では教授複数名に対し、生徒が解答を行うという形式が採用されているので、できるだけ模擬面接で慣れておきたいところです。

今回の模擬面接で重要になったのは「倫理観の一致」と「キャラ」の2つです。

大学教授が投げかけてくる質問の中には単純に受験生の倫理観を確認するようなものも含まれます。

例えば、発展途上国の障がい者支援を行いたい、という研究テーマを持っている受験生の場合では「発展途上国では他に問題も多いので障がい者支援をしている余裕はない。障がい者支援の意義とは何なのか?」といった質問をされることがあるでしょう。

この際に純粋な知的能力で論理立てて解答を行うこともできますが、緊張感や体調など様々な不確定要素のある面接では頭が回らなくなり、真っ白になってしまうこともあり得るでしょう。焦って解答をすると失言をしてしまう可能性もあります。

このような場合に解答の道標となるのが「倫理観の一致」と「キャラ」です。

まず、このような質問を投げかけられる前に「自分が問題に対してどのような観点から向き合っているのか?」という倫理観を日頃から決めておく必要があります。

上記の質問内容であれば、自身の障がい者支援に対するスタンスを「排他される人間が少しでも発生する社会ではいずれ社会システム自体が壊れる可能性があるから課題を解決したい」と決めておけば、上記のような質問が飛んできた際にも「障がい者支援が遅れることによって、セーフティネットからこぼれる人間がいるのが当たり前になり、その輪が広まるとテロなどにより社会システムそのものが壊れる可能性がある」と解答することができるようになるでしょう。

自身の問題に対するスタンスを決めることで解答もその観点から行うことができ、急に頭が真っ白になってもある程度落ち着いて対処することができます。

次に重要なのが「キャラ」です。実は上記のような倫理観を問う質問は回答者の熱量だけで返せるケースもあります(勿論、理論的な回答が求められている際は熱量だけで押し切るような真似は避けましょう)。その立ち回りの指標として有用なのが「キャラ」の設定です。

例えば、「明るく元気で真面目でセーフティネットからこぼれる人が一人でもいることが許せない人」というキャラ設定を自身の中であらかじめ作り、書類や面接の中である程度その人間性をアピールできていると、上記のような質問が来た際に「必要性があるかどうかじゃなくて救われない人が一人でもいるという状況が嫌だから。私がやりたいからやるんだ。」という返答をしてもなんら不思議ではなく、許されるものでしょう。

逆にそこまで「理論によってのみ解答する」というキャラを作った状態でその回答をすると、事前までの状態と急に人間性がブレるため、おそらく面接官は疑問に思うことでしょう。すると上記にもあるように、人間性の不一致で落とされる可能性も出てきます。

キャラを作るということは、許される行動のラインを作るということです。自身が答えられる範囲、答えられない範囲を明確に認識したうえで、キャラを設定し、面接という空間を操作するようにしましょう。慣れてくればパフォーマンス的にキャラを用いることもできるようになるでしょう。


▶︎授業Ⅳ プレゼンテーションロールプレイ  (対面のみ)

ここまでの各授業ではそれぞれ様々な概念を学びました。問題を分析するうえで有用な3つのツール「アクター分析」「アロー・ダイアグラム」「システム思考」、自身の考えを読み手に分かりやすく効果的に伝えるために必要な「UIデザイン」、「UXデザイン」、自身についての立場を明確にし、よりパフォーマンス性を向上させる「倫理観の一致」「キャラ」。

合宿最後の授業であるプレゼンテーションロールプレイではこれら合宿で用いた全ての概念をフルで用いてもらい、3人チーム全員の研究テーマを組み合わせて分析し、それを発表してもらう、という演習を行ってもらいました。

プレゼンの内容は、芸術教養科目でデスノートの登場人物の相関図を図式化して書き起こしてもらったのと同様に、自分が取り組むであろう社会課題のアクターを書き出し、その相関関係を図示しながら、その問題に自分が関わった時どう変化するかを発表する、というシンプルなものです。しかしデスノートの演習と異なる点としてプレゼンは3人でのチーム戦であり、チーム全員の社会課題を組みあわせる必要があり、アクターの関係も複雑になっていきます。ここで小論文演習で用いた複数の課題を組み合わせて分析する「システム思考」のツールが有用になってくるのです。当然、アクター分析やアロー・ダイアグラムによる図式化も必須です。

更にそれに加えて図式化するうえでのUIデザイン、プレゼンを発表した際に聞き手にどんな体験をさせるかというUXデザインも必要になってきます。図式化は必須ですが、発表形式は自由なので、演劇や詩で発表することによりパフォーマンス性を高めることもできます。

パフォーマンスの観点では面接練習で培った発声方法やキャラの設定による演出なども重要でしょう。

これらの多様な能力が要求される中で合宿に参加した6名は2チームに分かれて次のような発表をしてくれました。

Aチーム:自己愛性人格障害×歯科衛生士×発電エネルギー

Aチームの3人それぞれの研究テーマは「自己愛性人格障害によって発生するモラルハラスメント」、「発展途上国の歯科衛生士不足」、「発電エネルギーの効率的な運用方法」とかなりバラバラなテーマでした。

しかしアクターを整理した結果、発電エネルギー問題には国政や電力会社、一般家庭などのアクターがある中で、一般家庭のアクターの中に自己愛性人格障害を持つ親や、その子供、そして歯疾患患者が含まれ、そこと歯科衛生士が繋がっていることを示すことができました。これはかなり高度な階層化であると言えるでしょう。

それぞれの問題のつながりについても、発電に必要な燃料が高騰することで、貧困層が増加し、その結果により、家庭環境が悪化、児童ネグレクトが発生。ネグレクトが発生することにより口腔内の衛生環境が悪化し、歯疾患患者が増える、といった形で分析できていました。

自身が登場することによる影響については「口腔内環境からのネグレクト摘発」「親戚が家庭に介入することによるモラハラ2世を生まないシステム作り」「量子コンピュータによるスマートグリッド開発」が挙げられていました。

システム思考の「社会の問題は繋がっており、その関係を分析することで革新的な解決策を見つけることができる」という考えを実践できた事例といえるでしょう。

改善点としては自身の能力と組み合わせて語っていないため、解決策に現実味が薄いことでしょう。具体的なシステム立案や実行できるエビデンスなどが示せていると完璧でした。

Bチーム:コミュニケーション能力×障がい者支援×法のあり方

Bチームの3人のそれぞれの研究テーマは「善性の数値化」、「発展途上国の障がい者支援」、「自然法主義と法実証主義の対立」とかなり抽象度自体にばらつきがあるものでした。逆に言えば階層構造にしやすいもののようにも見えます。

Bチームはかなり細かくアクター分析を行い、それぞれのアクターの利害関係を明確に示しました。善性の数値化の観点においては、コミュニケーション能力がある人を採用したい企業とコミュニケーション能力があるのに実績至上主義のため見てもらえない人、コミュニケーション能力がないのに実績があることにより、コミュニケーション能力があるかのように見せかけている人、これら3つのアクターの利害関係を綺麗に図式化できていました。

発展途上国の障がい者支援の観点においても健常者、障がい者、政府の3つのアクターに分けて利害関係を分析していました。かなりMECEな分析ができていましたが、アクターについてはもう少し細分化しても良かったかもしれません。

自然法主義と法実証主義の対立の観点においてはアメリカにおける移民問題を実際の問題として正規移民と違法移民、共和党と民主党の4つのアクターから利害関係を分析していました。法のあり方については抽象的な議論が求められますが、実際問題に落とし込んで誰がどの立場にいるのかを明確化することで、非常にわかりやすい図式化を行うことができていたのではないかと感じます。

このグループでは時間がなく、すべての問題を含めたアクター分析(システム思考)ができなかったのですが、自然法主義と法実証主義の対立の中に障がい者支援や企業の採用についてのアクターを落とし込んで分析すると上手くつなげて考えることができたかもしれません。


以上がBlueAcademy2泊3日の夏期合宿で行った4つの授業の簡易的なまとめでした。

問題を分析するうえで有用な3つのツール「アクター分析」「アロー・ダイアグラム」「システム思考」、自身の考えを読み手に分かりやすく効果的に伝えるために必要な「UIデザイン」、「UXデザイン」、自身についての立場を明確にし、よりパフォーマンス性を向上させる「倫理観の一致」「キャラ」、様々な概念について理解を深め、能力を鍛えることができた有意義な3日間だったのではないでしょうか。

この記事を見ている方も総合型選抜において自身がどのフェーズにいるのか、どのようなトレーニングを行えばいいのか、どのような能力が不足しているのか、を改めて認識し、今自分が何をすべきか考えて対策を行っていくといいでしょう。

研究テーマ立案前で自身のことがまだよくわかっていない方は自分史ワークを、研究テーマのようなものは作っているがもっと高度な「絶対に受かる」テーマを作りたい方はアクター分析、アロー・ダイアグラム、システム思考による分析を、自身のキャラが一致していない、表現できない場合はUIデザインやUXデザインについての勉強を行うことをオススメします。

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